【運営管理】開発プロセス(平成26年度 第5問)

開発プロセス

製品の開発プロセスに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア  生産技術や量産技術を先取りして設計・開発するために、フロントローディング活動を行う。
イ  製品企画、製品開発、生産準備の作業を同時並行して行うために、ウォーターフォール型開発を行う。
ウ  製品の使いやすさを試作段階で把握するために、製品工程分析を行う。
エ  製品の組み立てやすさを設計段階で把握するために、組作業分析を行う。

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<正解:ア>

「生産技術を先取り」という表現に違和感を覚えたかもしれませんが、この一文こそが実務において最も重要な視点です。フロント=前、ローディング=負荷と丸暗記していたら即答は難しいでしょう。

【メーカーSCMが教える「フロントローディング」の本質】

多くの受験生が「フロントローディング=単なる前倒し」と捉えますが、現場の本質は違います。簡単に言うと「修正コストが爆発する前に、未来のトラブルを前倒しで叩き潰すこと」です。

設計段階で線を1本引くのはほぼタダですが、いざ量産準備に入ってから問題が見つかり「金型変更」するのは時間と費用を消し飛ばします。現場で、この時点での遅れは致命傷になるのです。

■「生産技術を先取りする」とは?
設計図が完成してから「さあ材料を調達して作ってくれ」と各部門に投げるのではありません。図面が1枚もない段階から、「この数値で本当に安定量産できるのか?」「リードタイムを縮めるために部品共通化はできないか?」と、製造現場の知見を設計に落とし込む。もっと言うと「製造が作れるものを、作らせてあげる段取りをする」ということです。

【SCM的実話】
あるオーダーメイド製品の「印刷試作品」を顧客に見せた時、とても喜ばれました。
「こんな綺麗なデザインになるんですか!」と、アプルーブ(客先承認を我が社では格好つけてこう呼ぶ)をその場で得ました。しかし・・いざ量産に移った時、顧客が感動したあの鮮やかな色味は出ませんでした。

原因は「試作時」と「量産時」の生産スピードの差です。数個作るだけの試作と違い、量産時はその数倍の速度で大量に印刷します。設計上の「最高の出来」が、量産品質でも再現できるかは別問題だったのです。
設計者が手間を惜しまず早い段階で現場と「このスピードでもこの色は出るか?」と綿密に打ち合わせていれば避けられた悲劇でした。

下流工程のことを考えた上流工程の設計を。
診断士受験生の多くは非製造業やホワイトカラーでしょう。この思考ができる診断士は、経営者から「現場の苦労がわかっている」と絶大な信頼を得られます。

<誤答選択肢>
イ:ウォーターフォール型開発(×)
「同時並行」はコンカレント・エンジニアリングです。ウォーターフォール型は真逆。「順番に一歩ずつ」進める手法で、前の工程が100%終わるまで次に進みません。スピードが求められる現代の製造業では、むしろ「避けるべき古い慣習」として記憶しましょう。

ウ:製品工程分析(×)
これは工場の床(フロア)で、モノがどう流れるか(加工・運搬・検査・停滞)を分析するツールです。「UX(使いやすさ)」を測るものは「ユーザビリティ評価(テスト)」など。診断士試験では「何を対象にした分析か」を入れ替えるひっかけが頻出です。

エ:組作業分析(×)
「組み立てやすさ(設計)」ではなく、「現場の作業員の動き(効率)」を分析するものです。設計段階でやるなら「DFA(組み立てを考慮した設計)」が正解。モノの形をいじるのか、人の動きをいじるのか。この区別を明確にしましょう。

<まとめ:暗記でない思考回路を作るポイント>
・フロントローディング = 変更コストが安いうちに課題を潰すこと。
・手段 = デジタル技術の活用、部門間連携。
・目的 = 総開発期間の短縮と品質の向上。

「構造」を捉えれば、運営管理は一気に得意科目に変わります。

■ 関連用語解説
「コンカレント・エンジニアリング(CE)」
フロントローディングを実現するための「やり方」のことです。
設計が終わるのを待ち次工程に進むのでなく、生産準備や調達ルートの確保を「同時並行的」に進めます。
これを行うには、部門間の壁を越えた情報共有が不可欠です。
(喫煙所に入り浸る言い訳にも使われがち)

実務上、これができない組織は必ず量産直前で「こんなの作れないよ!」という現場からの差し戻し(手戻り)に遭い各部門が変更対応に追われます。

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