テキストに載っているこの公式、試験当日にド忘れしたら終わりですよね?
はっきり言います。現場でこんな公式を使って電卓を叩いている人間はいません。
シンプルに本質を捉えましょう。
現場で私たちが考えているのは、
「誰が一番遅いか(犯人探し)」
「そのせいで皆がどれだけサボっているか(ムダ発見)」
の2点だけです。
今日は、非製造業・事務職のあなたが、生産管理の計算問題を得点源に変えるための「現場の視点」をインストールします。
1. そもそも「ラインバランシング」とは何か?
教科書的な定義は「各工程の所要時間を均等化すること」ですが、現場感覚で言うと違います。
「一番遅い人のペースに全員が付き合わされる不条理」を解決することです。
想像してください。4人でリレー形式の作業をしています。
- Aさん:10分で完了
- Bさん:10分で完了
- Cさん:20分かかる(仕事が遅い!)
- Dさん:10分で完了
このラインから製品が出てくるペース(サイクルタイム)は何分ですか? 「10分」ではありません。Cさんが終わらないと次に行けないので、「20分」に1個しか作れません。
この時、A・B・Dさんは毎回10分ずつ**「手待ち(サボり時間)」が発生しますよね? この「手待ち=ムダ」がどれくらいあるか?** を数値化したのが**「編成効率」**です。
2. 【ケーススタディ】令和3年度 第5問を「現場視点」で解く
実際にアップロードされた過去問(PDF P.77)を使って、実務家の頭の中を再現します。
【問題の要約(令和3年度 第5問)】
- 月間計画生産量:864個
- 稼働時間:25日/月、8時間/日、稼働率90%
- 各工程の作業時間:
- No.1:11.3分
- No.2:11.2分
- No.3:12.5分 ← ここが一番遅い!
- No.4:11.5分
- 問:ライン編成効率はいくつか?
ステップ①:現場の「持ち時間」を計算する(サイクルタイム)
まず、「1個あたり何分で作らなきゃいけないの?」というノルマ(サイクルタイム)を出します。
- 使える全時間: 25日 × 8時間 × 60分 = 12,000分 ……ですが、現場は機械トラブルや朝礼で止まります(稼働率90%)。 実質タイム = 12,000分 × 0.9 = 10,800分
- 1個あたりのノルマ: 10,800分 ÷ 864個 = 12.5分/個
【実務家の視点】 計算結果が「12.5分」になりました。ここで工程表を見ます。 No.3の人がちょうど「12.5分」かかっています。 つまり、このラインは**「No.3の人の限界ギリギリのペースで動いている」ということです。これがボトルネック**です。
ステップ②:ムダの総量を暴く(編成効率)
公式 n×c∑t は使いません。「理想」と「現実」のギャップで考えます。
- 現実の作業時間の合計(分子): 全員が実際に手を動かしている時間です。 11.3 + 11.2 + 12.5 + 11.5 = 46.5分
- 会社が支払っている時間の合計(分母): ここがポイントです。会社は「一番遅いNo.3(12.5分)」のペースに合わせて、4人全員分の給料(時間)を払わされています。 12.5分(ボトルネックのペース) × 4人 = 50.0分
- 判定(割り算): 「実際に働いた46.5分」は、「支払った50.0分」の何%? 46.5÷50.0=0.93 → 93.0%
答え:エ(90.0%以上)
どうでしょう? 「一番遅い人の時間 × 人数」が分母になる。これだけ分かれば、複雑な公式を覚える必要はありません。
3. 【実務家のワンポイント】診断士としてどう助言するか?
計算して「93%でした、優秀ですね」で終わるのが受験生。 「No.3がボトルネックだから、ここを改善しましょう」と言うのが診断士です。
実際の現場(SCM)なら、No.3の工程にこんな対策を打ちます。
- 作業分割: No.3の仕事の一部を、手が空いているNo.2(11.2分で終わってる)に渡す。
- 設備投資: No.3に最新設備を入れてスピードアップさせる。
- リリーフ: 手待ち時間の多いNo.2が、毎回No.3を手伝いに行く(多能工化)。
2次試験(事例III)では、この「計算結果を見て、どこを改善するか」まで書かせます。 今のうちに**「計算=現状分析ツール」**という意識を持ってください。そうすれば、運営管理はあなたの武器になります。
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